機械大手の独クーカ(アウグスブルク)は22日、産業用ロボット事業を拡大し今後3年で競合ファナック、ABBを抜いて世界1位に浮上する目標を明らかにした。今年1月に同社を買収した中国家電大手・美的集団の販売網を活用。目標を達成する考えだ。
中国の産業用ロボット普及台数は労働者1万人当たり49台(2015年)で、韓国(531台)、シンガポール(398台)、日本(305台)、ドイツ(301台)を大幅に下回る。だが、中国は世界最大の市場となっているうえ、普及率向上の余地が大きいことから、急速な成長が続くと予想されている。クーカは美的集団の傘下に入ることで同国市場を開拓しやすくなっており、需要を取り込んでいく考えだ。
クーカはまた、産業機器をつなぐIoT(モノのインターネット)プラットフォーム事業を強化していく考えも明らかにした。社内スタートアップ企業コンユン(connyun)が開発したクラウドベースのプラットフォームを提供。顧客企業が様々なメーカーの機械を連携させて莫大な量のデータを収集・解析・利用し、新しい事業モデルを開発できるようにする。同様のプラットフォームはすでに電機大手の独シーメンス(「マインドスフィア」)や米ジェネラル・エレクトリック(「プレディックス」)も提供しており、クーカは競合することになる。
シーメンスによると、そうしたIoTプラットフォームでつながる世界の工場は現在、全体の3.5%にとどまるが、需要は今後、急速に増加し、10年後には75%へと拡大する見通しだ。