世界的なパワーコンディショナー(PCS)メーカーである独SMAソーラー(ニーステタール)が3月30日発表した2016年通期の決算は減収増益となった。売上高は9億4,670万ユーロにとどまり、前年の9億8,180万ユーロからやや減少。純損益は2,960万ユーロの黒字で前期の1,430万ユーロから倍増した。主力のパワーコンディショナーの販売は好調で、定格出力ベースで計8.2ギガワットを出荷し、前年の7.3ギガワットから増加した。同社幹部は17年について、価格競争の激化により売り上げは低迷するとの見通しを示す一方、エネルギー管理プラットフォームなどデジタル技術の活用に注力する方針を明らかにした。
SMAソーラーは直流を交流に変換するパワーコンディショナーの世界的大手。ハディング取締役は決算発表で、急成長する中国企業との競争などによる価格押し下げ圧力が大きな脅威となっていると述べ、17年は厳しい年になるとの見方を示した。
激化する競争のなか、同社のウルボン取締役は今後3~5年はデジタル化の波に乗って利益を確保する考えだ。デジタル化とネットワーク技術を活用する「自動エネルギー管理」システムを提供していく。同社が構築したプラットフォームでは現在、法人顧客が太陽光発電や暖房、換気など各設備のエネルギーフローを管理できるようになっている。
ウルボン氏によると、太陽光発電設備業界は変革の真っ只中にあり、政府の支援策に依存しない産業に脱皮する段階にきている。
SMAは太陽光発電設備市場で最も安定した企業だとみなされているが、ここ数年は雇用を大きく削減し、事業も縮小してきた。17年の売上高は8億3,000万ユーロ~9億ユーロにとどまり、前期の9億4,700万ユーロから大きく落ち込むことが見込まれている。同様に営業利益(EBITDA)も7,000万ユーロ~9,000万ユーロに下振れする見通しという。