大手太陽電池メーカーの独ソーラーワールド(ボン)は3月29日、経営再建計画を発表した。調達部門や生産部門のコスト削減などを含め、今後3年間で総コストを20%削減するとともに、生産量を30%拡大する考えで、従業員3,050人のうち約400人を整理する。付加価値の高い太陽光発電モジュールの生産に集中することで、2019年までの黒字転換を目指す。今回の人員整理はドイツ国内の事業所が対象となる。同社は昨年も派遣社員400人を解約している。
ソーラーワールドはかつてドイツの太陽光発電産業の看板企業であったが、中国製品による価格破壊が原因で、ここ数年赤字が続いている。昨年は9,200万ユーロの赤字を計上し、前年(赤字5,900万ユーロ)から一段と悪化した。また、流動資金は1億ユーロ以上から8,800万ユーロに縮小している。今年は売り上げが安定する見通しであるものの、依然として赤字が続くとみられている。
株式市場では、再建計画の発表を受け同社の株価が久しぶりに30%近く上昇した。株価回復の背景には、原料であるシリコン調達先の米ヘムロックとの法廷闘争で示談に持ち込める道筋が見えてきたこともある。米ヘムロックは供給契約を破棄したとして7億2,000万ユーロの損害賠償を求め提訴。第一審ではヘムロックの要求が認められた。その後の交渉で両社は「友好的な解決策を見つける」ことで合意。ソーラーワールドはリストラ策を一段と強化し、経営再建を図ることになった。