独機械業界、ロシア売上が増加見通し、対露輸出では中国が1位に

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は11日、同国機械業界のロシア売上高が今年は数年ぶりに増加する可能性が高いとの見方を示した。ロシアで事業を展開する加盟およそ230社を対象に実施したアンケート調査で、約半数が売上増を見込んでいると回答したためだ。

ロシアは2014年、ウクライナ領であるクリミア半島に侵攻し、同地を併合した。これを受けて欧米は対露経済制裁を実施。同国通貨ルーブルの価値は下落した。折からの原油安の影響もあり、ロシア経済は低迷し、ドイツの対露機械輸出高は14年が前年比17%減の64億8,400万ユーロ、15年が同26.8%減の47億4,700万ユーロと大きく落ち込んだ。昨年は減少幅が6.6%に縮小したものの、輸出高はピーク時の約半分の44億3,600万ユーロまで低下している。

ロシア政府は危機からの脱出に向けて経済の多角化を推し進めている。VDMAによると、国外の機械メーカーはその恩恵を受ける見通しで、すでにドイツの農業機械、食品機械、包装機械、プラント・エンジニアリング機器メーカーでは同国事業が好転している。

VDMAはその一方で、ロシアの機械市場で中国勢の存在感が高まっていることに警戒感を示した。欧州連合(EU)の対露制裁に制限される独メーカーと異なり、中国企業は自由にロシア事業を展開できるためだ。中国の対露機械輸出高は昨年49億ユーロに達し、ドイツの対露輸出を抜いて初めて1位に躍り出た。

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