自動車部品大手の独ZFフリードリヒスハーフェンは4日、自動運転車用の内装・安全技術の開発で仏同業のフォーレシアと戦略提携すると発表した。ドライバーが読書やゲームなど運転以外の事柄を行える高度な自動運転車では内装のあり方が従来型の車両から大きく変化する見通しのため、それに見合った安全技術を開発していく。9月のフランクフルト・モーターショーで内装と安全技術を統合した当該ソリューションを展示する考えだ。
ZFはセンサーやシートベルト、エアバックなどの安全技術、フォーレシアはシートなどの内装分野に強みを持つサプライヤー。両社はそれぞれのノウハウを持ち寄り内装と安全技術を有機的に一体化した自動運転車用のソリューションを開発していく。
ZFのシュテファン・ゾンマー社長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、例えばハンドルは車内をくつろいだ雰囲気にするうえでマイナス要因になると指摘。また、ドライバーがシステムに運転を任せて同乗者とゲームに興じている際に追突事故が起きた場合は、怪我を最低限に抑える内装と安全技術が必要だと強調した。
フォーレシアのパトリック・コーラー社長は、内装と安全技術を統合した自動運転車用のソリューションはこれまでもあったが、それらはすべて現実的でなく適切に機能しないとの見方を示した。両社は同分野で実用可能なソリューションを提供するトップバッターになる考えだ。
安全装置は基本的にシートに取り付ける方向。これによりシートを速やかに回転したりマニュアル運転モードに戻したりできるようにする。
今回の提携のアイデアは両社長が1月のデトロイトモーターショーで会談した際に浮かんだもの。2月には基本合意が成立し、3月には両社共同のチームが活動を開始した。今回の合意はこれを正式化するもので、共同作業のスタートが正式合意に先行した格好だ。世界的な大企業でありながら、両社はスタートアップ企業のような軽快なフットワークを持っていることがうかがわれる。