シーメンス―中東持ち株会社設立―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)が中東地域での出資を統括する持ち株会社シーメンス・ミドル・イースト・ホールディングを設立した。日刊紙『ヴェルト』が報じ、同社が追認したもので、広報担当者は「(中東地域における)今後の出資で柔軟性を高める」ことが狙いだと語った。同紙はシーメンスをはじめとする欧米の有力企業が中東市場の開拓を強化していることが背景にあるとみている。

新会社はドイツ法に基づく有限合資会社。持ち株会社であるものの、現時点で傘下企業を持っていない。また、既存の中東子会社を傘下に組み込む計画もないもようだ。

中東地域は政治・法律上の難しい問題が多いため、事業を展開するうえで持ち株会社は便利という。例えば米国の制裁がすべては解除されていないイランに関する事業は他の事業と明確に区別する必要があり、多くの欧米企業は持ち株会社を通して展開している。

アラブ諸国は石油で稼いだ資金を元手に高度な産業を育成しようとしており、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は最先端のインフラを備えた産業区域「ドバイ・シリコン・オアシス(DSO)」を運営。カタールは2年後の2019年、首都ドーハに地下鉄網を開設する計画で、急ピッチで工事を進めている。

産業需要が大きいことから、欧米の有力企業は中東事業を強化しており、米ゼネラル・エレクトリックはサウジアラビアの製造業育成を支援する方針を昨年、打ち出した。現地従業員数を20年までに4,000人へと倍増させる予定だ。

シーメンスも中東事業強化の布石を打っており、ケーザー社長は3月、UAEに産業用オープンIoTオペレーションシステム「マインドスフィア」と設計ソフト、総額1億ユーロ相当を寄付した。今回の持ち株会社設立はこうした動きと連動しているというのがヴェルト紙の見方だ。

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