ドイツ連邦環境庁(UBA)は9日、水道料金が今後、大幅に上昇する恐れがあることを明らかにした。耕地の過剰施肥で地下水に含まれる硝酸塩の濃度が上昇していることが背景にある。硝酸塩の濃度を飲料に適した水準に引き下げるための浄水コストは極めて高いことから、現状を放置すると水道料金は1立法メートル当たり55~76セント(32~45%)上昇する見通しだ。4人世帯では年間料金が最大134ユーロ膨らむことになる。
ドイツはかつて食肉・肉製品の純輸入国だったが、現在は牧畜が増え純輸出国となっている。家畜の排せつ物は水肥として耕地に散布される。排せつ物に肥料となる窒素が含まれているためだが、窒素は土壌内で硝酸塩に変化する。
硝酸塩は人体に無害であるものの、有害な亜硝酸塩に変化する可能性がある。亜硝酸塩は血液中のヘモグロビンと結合して酸素欠乏症を引き起こしたり、発がん性の疑いが持たれている。
ドイツ政府は欧州連合(EU)法違反手続きを適用される恐れがあったことから、肥料法を6月2日付けで改正し、施肥規制を強化した。その効果で地下水の水質が改善されれば、水道料金の大幅値上げは回避される見通し。UBAによると、国内の地下水の27%で現在、硝酸塩の許容上限(1リットル当たり50ミリグラム)を上回っている。