ボッシュ―EV用電池セル生産を検討―

自動車部品大手の独ボッシュ(シュツットガルト)が電気自動車(EV)用電池セルの自社生産を検討している。フォルクマル・デナー社長が『ヴェルト・アム・ゾンターク』紙に明らかにしたもので、2つの条件が満たされれば同事業に参入する意向を表明した。

ドイツメーカーはEVなど電気駆動車に搭載する電池用のセルをアジア企業から調達している。独企業はセル分野で競争力が低いためで、自動車大手のダイムラーは2015年末、不採算に陥っていたセル生産事業を打ち切り外部調達へと切り替えた。

だが、電池は電気駆動車の価値の30~40%を占めるうえ、航続距離などの車両性能の面でも大きな意味を持っていることから、電池の中核部品であるセルを外国企業に全面依存することは産業政策上、好ましくなく、電気駆動車の普及に向けた政府諮問機関「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」は昨年、セルの国内生産実現に向けたロードマップを作成した。

具体的には、現在は日韓メーカーの競争力が圧倒的に高いうえ、生産能力過剰にも陥っていることから、現行世代セル(リチウムイオン電池セル)の工場をドイツに設置しても不採算だと指摘。次世代セルの実用化が見込まれる2020年以降に国内生産を始めるべきだと提言した。

ボッシュがセルの自社生産を検討するのはこうした事情を踏まえたもので、デナー社長は◇電池化学分野で同社がアジアの競合を出し抜く発明に成功する◇新しいタイプの電池を既存工場で製造できる――の2条件を満たすことができれば生産に乗り出す意向を示した。遅くとも来年初頭までに決定を下すとしている。

上部へスクロール