自動車大手のフォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループはインド市場に傘下ブランド・シュコダの乗用車を投入する考えだ。VWは同国をはじめとする新興市場向けの低価格車を現地同業タタ・モーターズと共同開発する方向で協議してきたが、協議が打ち切りとなったことから単独開発に切り替えて実現を目指す。グループ戦略を統括するトーマス・セルダン氏がロイター通信に明らかにした。
VWは3月、タタ・モーターズと戦略提携することで基本合意。量産車子会社シュコダが中心となって部品・プラットフォーム共有化の可能性を模索してきた。だが、少なくとも「現時点では技術面でも経済面でも期待したほどのシナジー効果を引き出せない」ことが明らかになったため、今月10日に提携協議の打ち切りを発表していた。
VWはタタ・モーターズとの将来の提携の可能性を排除していないものの、急成長するインドその他の新興市場に早急に参入したいことから、シュコダの既存モデルをベースに低価格車を開発。2020年に印市場に投入する考えだ。
VWは低価格車を持っていないことから、インド市場に強いスズキと2009年に資本・業務提携した。だが、VWがスズキの買収を狙っているとの疑惑が生じたため蜜月は続かず、提携は解消された。VWはまた、低価格車「フォックス」の開発を行ったものの、マルティン・ヴィンターコルン社長(当時)の要求する技術水準と価格を両立できず、商品化できなかった。