育休手当の算出基準に有給休暇手当は含まれるか

育児休暇を取得した人は月1,800ユーロを上限に出生前1年間の平均手取り収入の67%を最大1年間、受給できる。これは育児休暇法(BEEG)に定められたルールで、夫婦(ないし非婚カップル)が2人とも育児休暇を取る場合には、支給期間が計14カ月に延長される。

では出生前1年間の平均手取り収入を算出する際に、有給休暇手当やクリスマス手当などの一時金は算入されるのだろうか。それとも算入対象となるのは一時金を除いた給与・賃金に限られるのだろうか。この問題をめぐる係争で社会保障に関する係争の最高裁である連邦社会裁判所(BSG)が6月末の判決で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は育休手当の算出方法に不満を持つ女性がベルリン州を相手取って起こしたもの。同女性は2014年、女子を出産したことから育休手当を申請した。

原告は年棒契約で給与を受け取っていた。契約では年棒の14分の1に相当する額を毎月、受給するとともに、同額の有給休暇手当を5月、同じくクリスマス手当を11月にそれぞれ受け取ることが取り決められていた。

原告はこれを根拠に、有給休暇手当とクリスマス手当を含んだ出産前12カ月の手取り収入(手取り年棒額)をベースに育休手当を算出するよう育休手当局(Elterngeldstelle)に要求した。

これに対し同手当局は有給休暇手当とクリスマス手当を除いたベース(手取り年棒の14分の12に相当する額)で月の支給額を算出したことから、原告はこれを不当として提訴した。

原告は2審で勝訴したものの、最終審のBSGは逆転敗訴を言い渡した。判決理由でBSGの裁判官は、賃金税控除手続きで「その他の収入」扱いとなる収入は育休手当算出の際に考慮されないとしたBEEG2c条1項の規定を指摘。年棒契約であっても有給休暇手当とクリスマス手当は特定の機会(有給休暇とクリスマス)に絡んで支給される一時金であり、BEEG2c条1項の「その他の収入」に当たるとの判断を示した。

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