自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)が会社組織の持ち株会社化を検討しているとの観測が浮上している。経済誌『マネージャー・マガチン(MM)』が24日、報じたもので、2019年の株式総会までに新体制に移行する計画という。同社はメディアの問い合わせに「競争と市場環境が変化するなかでどのような体制がベストかを常に検討している」と回答するにとどめ、肯定も否定もしなかった。
同誌によると、ディーター・ツェッチェ社長とボド・イッバー財務担当取締役は乗用車、バン、トラック、バス、金融サービスの5部門からなる現体制を乗用車とバン、トラックとバス、金融サービス(モビリティーサービスを含む)の計3事業会社からなる持ち株会社へと改めるという大まかな決定をすでに下し、他の役員と協議した。今後は法的な詳細を詰めたうえで正式決定する方向という。
一方『ハンデルスブラット』紙は、取締役会と監査役会は今後、外部のコンサルティング会社に調査を依頼して持ち株会社化のメリットとデメリットを明確化する考えだと報じた。また、バン部門をトラック・バス分野の新会社に統合する可能性やモビリティサービス事業を法的に独立させる可能性もあるとしている。
MM誌によると、経営陣は持ち株会社傘下の各事業会社の新規株式公開(IPO)も視野に入れているもようだ。自動車各社は現在、電気自動車(EV)、自動運転車、モビリティサービスの開発に巨額の資金を必要としていることから、事業会社の株式を公開すれば、資金を確保しやすくなる。
イッバー取締役は7月、現在の5事業部門を法的に独立した会社に転換できるかを検討すると明言した。これにより市場・顧客のニーズに迅速・的確に対応できるようになり、成長のチャンスが高まるとの立場だ。