シーメンス―中国を自律ロボットの中核研究開発拠点に―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は14日、自律ロボットのグローバル研究開発事業を同社中国法人の主導で進めていくことを明らかにした。シーメンスの将来の成功に決定的に重要な分野で主導権を握る戦略の一環と説明している。同研究開発事業の重点分野としては新しいメカトロニック・システム、人と機械の協働、人工知能によるロボット制御を挙げた。どの程度の研究開発要員を投入するかなど詳細は明らかにしていない。

中国での研究開発の重点分野としては自律ロボットのほか、データ分析、サイバーセキュリティ、産業用モノのインターネット(IIoT)、コネクテッドシティを挙げた。これら分野の技術を用いて同国の渋滞緩和や省エネ、環境保護に貢献する考えだ。

同社はまた、デジタル技術を活用して経済を近代化する中国の取り組みを支援することも明らかにした。

シーメンスが中国を自律ロボット研究開発の中核拠点とする背景には、同国の産業ロボット市場が急速に拡大し、2013年以降は世界最大となっているためだ。19年には世界市場(41万4,000台)の約4割(16万台)を占めるようになると予想されており、将来性も高い。主要顧客のニーズを製品に的確に反映させるためには現地に開発拠点を構えることが必要不可欠なことから、今回の決定を下したとみられる。

ドイツ政府や欧州連合(EU)は最新技術の中国流出に歯止めをかけたい考えで、欧州委員会は14日、外資による欧州企業買収のハードル引き上げ法案を打ち出した。シーメンスにとっても独・欧州の産業立地競争力は重要なものの、同社はそれに少し目をつぶって中国市場の開拓を優先した格好だ。

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