小型電池の有力メーカーである独ファルタ(エルヴァンゲン)は9月27日、新規株式公開(IPO)計画を発表した。ワイヤレスイヤホン向け電池の需要が急増していることから、公開益で生産能力を拡大する考え。新株およそ1億5,000万ユーロを発行するほか、同社の100%親会社であるスイス企業モンタナ・テック・コンポーネンツも保有株の一部を売り出す。年内にフランクフルト証券取引所の「プライム・スタンダード」で市場デビューを果たす考えだ。
ファルタは1887年創業の老舗企業。2002年にオーナー(当時)のクヴァント家(BMWの大株主)が自動車バッテリー事業を米ジョンソン・コントロールズ、家庭用電池事業を米レイオバック(現スペクトラム・ブランズ)にそれぞれ売却した。モンタナはマイクロバッテリー事業を06年に取得し、11年にはファルタ本体も買収した。
ファルタは現在、補聴器などに用いるマイクロバッテリーの製造子会社ファルタ・マイクロバッテリーと、太陽電池用蓄電池を手がける子会社ファルタ・ストレージの2社を傘下に持つ。今年上半期の売上高は前年同期比13%増の約1億2,000万ユーロで、営業利益は90%増の1,940万ユーロへと急拡大した。
モンタナは今後も過半数株を保持する考えで、IPO後の浮動株比率を40%程度とする考えだ。
ファルタは昨年秋もIPOを計画したが、仮条件の価格内で投資家の需要が少なかったため見送った経緯がある。