ゼネラリが独生保子会社清算、エルゴも契約600万件売却の方向

保険大手の伊ゼネラリは9月28日、独生保子会社ゼネラリ・レーベンスフェアジッヒャルングを来年初頭に清算する計画を明らかにした。低金利を受けて運用環境が悪化しているためで、既存契約400万件を売却する考えだ。競合の独エルゴ、仏アクサも同様の措置を検討しており、独生保業界は再編期を迎えている。

欧州中央銀行(ECB)の超低金利政策が長期化していることを受けて、生保会社は運用に苦慮。特に、一定水準の利回りを保証する古典的な生命保険は業績の大きな足かせとなっており、多くの企業はそうした商品の販売を縮小・停止し、運用リスクを顧客が引き受ける商品の販売に注力している。

古典的な生保商品の既存契約については、そうした契約を買い取る専門の事業者に売却する傾向が強まっており、ゼネラリも独生保事業をその方向で整理する。

エルゴは古典的な生保商品の販売を2015年末で打ち切った。同社のマルクス・リース社長は昨年、既存契約を今後も自ら管理していく意向を示していたが、ここにきて方針を転換。広報担当者は27日、メディア報道を追認する形で、条件が合えば売却する意向を明らかにした。約600万件の契約が対象となるもようで、『南ドイツ新聞』によると、売却額は10億ユーロを大幅に上回る見通しだ。すでに中国と英国の投資家や米国のヘッジファンドが買収に関心を示しているという。

アクサ独法人のアレクサンダー・フォルラート社長は証券紙『ベルゼンツァイトゥング』に、既存契約の売却を選択肢の1つとして考えていることを明らかにした。

保険会社から既存契約を買い取って被保険者に引き続きサービスを提供する企業の活動は近年、活発化している。同市場の有力プレーヤーとしては中国・復星国際の子会社フランクフルター・レーベンや、投資会社シンベンとハノーバー再保険の合弁フィリディウム(Viridium)が知られている。

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