化学・製薬業界のデジタル化投資、3~5年で10億ユーロ以上に

独化学工業会(VCI)は9月28日、事業のデジタル化とデジタルサービスモデルの開発に同国の化学・製薬業界が投資する額は今後3~5年で計10億ユーロを超えるとの見通しを明らかにした。クルト・ボック会長(BASF社長)は、製品をデジタルサービスと結びつけることは新たな価値創出のカギを握るとの見方を示した。

VCIの委託を受けてコンサルティング大手デロイトが加盟企業を対象に実施したアンケート調査によると、生産・事業プロセスのデジタル化に向けて投資を計画する企業は全体の半数を占めた。ボック会長は、ビッグデータ解析を通して事業効率を引き上げるだけでなく、技術革新も加速できる見通しがデジタル化投資の背景にあると指摘。ビッグデータを活用して製品とサービスをリンクする例として、作物生産にかかわるデータを取得・解析して農業の効率アップを図る精密農業や、患者各人の体質や症状に合わせて最適の治療を行うオーダーメイド治療を挙げた。

事業のデジタル化が雇用にもたらす影響については明言を避けた。ただ、BASFのルートヴィヒスハーフェン本社工場ではデジタル化の進展を踏まえ、退職などで空いたポストの半数しか補充しない方針を打ち出していることから、雇用の縮小は避けられないもようだ。

上部へスクロール