高級システムキッチン製造の独シーマティックが中国企業Nisonグループの傘下に入る。シーマティックのウルリヒ・ジークマン社長が現地メディアに明らかにしたもので、中国市場開拓の協力を得るために同社長を含むオーナー一族が過半数資本をNisonに譲渡する。Nisonの出資比率や売却額は明らかにしていない。
シーマティックは1929年創業の老舗メーカーで、独北部のレーネに本社を置く。同社製品の平均価格は約3万ユーロと高い。欧州と米国を中心に世界の60カ国以上で販売している。売上高は約1億ユーロで、中国はそのうち約4%にとどまる。
中国市場の開拓は難しいことから、Nisonと手を組むことにした。まずは近日中に上海近郊にショールームを開設し、認知度を高めていく考えだ。製品は今後もレーネ本社工場で生産し、中国では高品質の代名詞となっている「メイド・イン・ジャーマニー」を前面に押し出して販売していく。
コンサルティング会社コロン・ストラテジーによると、中国のシステムキッチン市場規模は現在の200万セットから2030年には800万セットへと拡大する見通しで、欧米市場の停滞に苦戦するメーカー各社は熱い視線を送っている。
Nisonは1994年設立の企業で、掃除機などの白物家電を製造するほか、不動産事業を手がけている。従業員数は1万人で、昨年は9億ドルを売り上げた。上海近郊の蘇州に本社を置く。