欧州連合(EU)域内では2004年以降、加盟各国の法律とは異なるEU独自の欧州会社法に基づく企業である「欧州会社(Societas Europaea=SE)」を設立できるようになった。欧州会社の設立に際しては「欧州会社における被用者の参加に関する法律(SEBG)」の規定に基づいて、被用者の代表で構成される特別交渉委員会(Besondere Verhandlungsgremium=BVG)と経営陣が協議して労使の共同決定について協定を結ぶ決まりとなっている。このルールに絡んだ係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が2月に決定(訴訟番号:6 TaBV 1585/16)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は通販大手ツァランドで取り決めた労使共同決定協定の無効確認を求めてサービス労組Verdiが起こしたもの。ツァランドは2008年に設立された際、SEBGのルールに基づいて特別交渉委員会と協議し同協定を締結した。
これに対しVerdiは、特別交渉委員会にVerdi代表を送り込むことを不当に阻止されたとして、同交渉委が経営陣と取り決めた協定の無効確認を裁判で要求した。
1審のベルリン労働裁判所は原告の訴えを棄却し、2審のベルリン・ブランデンブルク州労裁も1審決定を支持した。決定理由で同州労裁の裁判官は、ツァランドとVerdiの間には法的関係がないことを指摘。法的関係がなければVerdiが要求する無効確認を行うことができないと言い渡した。
最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への異議申し立ては認めなかった。