自動車大手フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)のVWブランド乗用車部門は10日、ミュンヘンでディーラーを対象とした説明会を開き、欧州の契約販売店の大幅削減方針を打ち出した。デジタル化の進展で販売店の利益がこれまで以上に圧迫されると予想されるためで、ディーラーの利益確保に向けて販売網にメスを入れる。
欧州の契約販売店は現在3,100社に上る。1社当たりの販売台数は約620台、売上高は同2,700万ユーロで、売上高利益率は1%にとどまる。車両販売では利益がほとんど出ないことから、交換部品やサービスが事業の支えとなっている。
デジタル化の進展に伴い、インターネットを通して外部の事業者が販売店から売上機会を奪うケースが増加していく。また、電気自動車(EV)はオイル交換が不要なため、ディーラーにとって利幅の大きい同サービスは将来的に減少する見通しだ。EVではオイルを含む交換部品のディーラー売上高が30%減少するとVWはみている。
VWが車両のオンライン販売に自ら乗り出すこともあり、ディーラーの経営環境は悪化する。
契約販売店がこうした状況に対応できるようにするため、同社は販売店を削減する。また、これまで販売店に対し売上高に応じた従業員数の確保を指示してきたが、今後はこれを撤回し、販売各社の裁量に任せる。IT技術を活用すれば業務効率を引き上げ従業員数を減らせるという計算が背景にある。
VWは販売店との契約を来春にすべて破棄する計画で、新契約締結に向けた交渉を11月から来年第1四半期にかけて実施。交渉を通して販売店の選別を行う。販売店の売上高利益率を平均2%に引き上げる目標だ。