制服の着替え時間、賃金の対象にならないことも

制服の着用が義務づけられている職場ないし職種では制服の着替えが勤務の一部とみなされ勤務時間に算入される。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2010年の判決(訴訟番号:1 ABR 54/08)で下した判断である。この判例に絡んだ裁判でケルン労働裁判所が3月の判決(訴訟番号:2 Ca 6361/16)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は空港のセキュリティ会社に勤務する社員が同社を相手取って起こしたもの。

同社のセキュリティ要員は会社支給の制服の着用を義務付けられている。また、職場に更衣室がないことから、社員は通常、自宅で制服を身に着けて出勤し、帰宅後に脱衣している。

原告は制服の着衣と脱衣に要する時間が1日当たり計20分に上るとして、その分を賃金として支給することを要求。提訴した。

1審のケルン労裁はこの訴えを棄却した。判決理由で裁判官はまず、制服は被告企業の職員であることを外部に対し明確に示すためのものであり、全面的に被告の利害に基づくものだと指摘。着替え時間が勤務時間に該当するとの判断を示した。着衣と脱衣の所要時間については1日当たり計4分が妥当だと言い渡した。

裁判官はこの判断を示したうえで、被告企業の業界で取り決められた労使協定には労働時間口座の規定があることを指摘。着替え時間は同規定に基づき、労働時間口座の貯蓄として記録されるものであり、原則的に賃金に換算されないとの判断を示した。仮に労働時間の貯蓄上限枠を突破することがあれば、その分を金銭に換算して支払うことを請求できるが、原告のケースはこれに当てはまらないとしている。

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