シーメンス―発電設備部門で工場整理か―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)が発電業界と石油・ガス採掘業界向けの設備を手がけるパワー&ガス部門で生産拠点の統廃合を実施するもようだ。需要が大幅に減少しているためで、数千人規模の人員整理を行うとみられている。各種メディアが19日に報じた。同社は「市場の憶測にはコメントしない」として明言を控えている。

パワー&ガス部門は世界で計23工場を展開している。経済誌『マネージャー・マガチン』によると、そのうち最大11拠点を売却ないし閉鎖する可能性がある。ドイツではエアフルトの発電機工場とゲルリッツの蒸気タービン工場が候補に挙がっているもようだ。

背景には再生可能エネルギー発電の需要増に反比例する形で従来型発電設備市場が縮小していることがある。特にガスタービンを用いた大型発電所のニーズが落ち込んでおり、競合の米ゼネラル・エレクトリック(GE)なども苦戦している。

シーメンスが石油・天然ガス採掘用製品大手の米ドレッサー・ランドを2015年に買収したことも裏目に出ている。石油・天然ガス価格の下落を受けて、主要顧客である中東の産油国や米国の採掘事業者が投資を控えているためだ。

シーメンスは15年、パワー&ガス部門で4,500人規模の人員削減を実施すると発表した。同削減計画は終了していないものの、ジョー・ケーザー社長は8月、「さらなるコスト削減と生産能力調整措置が必要になっている」と発言。新たな措置を打ち出す考えを示唆した。11月9日の決算発表で何らかの言及を行うと目されている。

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