スペイン建設大手ACSの独子会社ホーホティーフ(エッセン)は18日、スペインのインフラ企業アルベルティス・インフラストラクチュラスに対する株式公開買い付け(TOB)計画を発表した。アルベルティスに対してはすでにイタリアの運輸インフラ会社アトランティアがTOB方針を打ち出しており、これに対抗した格好だ。
ホーホティーフはアルベルティスを1株当たり現金18.76ユーロないしホーホティーフの新株0.1281株で取得する考え。買収総額は171億ユーロで、アトランティアの同163億ユーロを上回る。50%プラス1株以上の確保をTOBの成立条件としている。
アルベルティスは有料道路と通信事業を欧州、南北アメリカ、アジアで展開する複合企業で、同社が運営する有料道路の総延長は8,600キロメートルを超える。スペイン本国では同国の有料道路の60%強に当たる1,600キロを運営する。このほか、イタリア、フランス、アイルランド、英国、クロアチア、南米でも有料道路を運営しており、売り上げの70%以上を国外事業が占める。
同社の昨年の売上高は49億ユーロで、純利益7億9,600万ユーロを計上した。
ホーホティーフは親会社ACSの意向を受けてアルベルティスの買収に乗り出した。ACSのフロレンティーノ・ペレス社長(レアル・マドリード会長)は今夏、同社本体に買収資金がないことを踏まえ、ホーホティーフを通して買収する考えを示唆していた。このためホーホティーフはシナジー効果を見込めないにもかかわらず、今回の買収を決定した。
ホーホティーフの同買収計画に対しては、買収金額が実質的に300億ユーロを超えるとの指摘もある。アルベルティスは総額140億ユーロ以上の有利子債務を抱えているためだ。
アトランティアは5月にTOB方針を発表した。すでにスペイン証券監督当局から承認を受けている。メディア報道によると、同社はホーホティーフの対抗TOBを受けて買収条件を引き上げる可能性が高い。アトランティアの買収計画が実現すれば世界最大の有料道路運営会社が誕生する。