中国企業の独バイオテスト買収に黄信号、米当局が懸念表明

血液製剤製造の独バイオテストを中国の投資会社、科瑞集団(Create Group Corporation)が友好的に買収する計画に黄信号が灯りだした。米国への直接投資を国家安全保障の観点から審査する対米外国投資委員会(CFIUS)が懸念を表明したためで、ビオテストは7日、同社と科瑞が申請をひとまず撤回したうえで、新たな買収計画を申請することを明らかにした。

ビオテストは4月、科瑞に自社売却することで合意した。科瑞の支援を受けて事業を拡大する考えだ。

科瑞はその後、独法人Tiancheng(Germany)Pharmaceuticalを通して株式公開買い付け(TOB)を実施。期限の6月15日までにビオテスト株82.15%を確保し、株主の承認を確保した。

CFIUSは血液製剤の原料である血漿の米国における提供者と患者の個人データに科瑞がアクセスできることを問題視している。ビオテストの広報担当者は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、血漿提供者のデータは安全上の理由から30年以上の保管が義務づけられていることを指摘した。

同社と科瑞はこの義務に抵触せずにCFIUSの疑念を取り除かなければならず、プレスリリースではCFIUSの承認を得られる保証がないことを明らかにした。来年1月20日までに当局の承認をすべて確保しないと買収計画自体が無効となるため、時間の猶予はほとんどない。

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