コメ銀本店に立ち入り調査、違法な税還付の容疑で

ドイツの税務・検察当局がコメルツ銀行を対象に7日、立ち入り調査を実施していたことが10日、明らかになった。金融業界メディアが報じ、同行が追認したもので、「カム・エクス(Cum-Ex)」というルールを悪用した違法な税還付に同行の行員が関与していた疑いが持たれている。調査はフランクフルトのコメ銀本店や容疑者の自宅を対象に行われた。

カム・エクスは、「権利確定日」の時点で保有していた株式には配当が付くが、同確定日以降の「権利落ち日」に取得した株式には配当が付かないというルール。権利確定日の直前直後にこの取引を行うと株式の本当の所有者が誰であるかが分かりにくいため、支払っていないキャピタルゲイン税の還付を受けることが技術的に可能だった。これによりドイツの財政に総額120億ユーロの損出が発生したと推定されている。

連邦財務省がこの盲点に気づき、2012年に法改正が行われたことから、現在はこの手口を使うことができない。法改正以前のカム・エクス取引が違法だったかどうかについては専門家の間で意見が分かれているものの、当局は違法との立場で捜査を進めている。

フランクフルト検察当局はコメ銀の社名を伏せながらも、立ち入り調査を実施したことを明らかにした。2006年から10年にかけて約4,000万ユーロの違法な税還付が行われたとみている。

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