独化学工業会(VCI)は6日の記者会見で、同国化学・製薬業界の今年の売上高予測を前年比5.5%増の1,948億ユーロとし、従来予測の同5.0%増から上方修正した。欧米の景気加速や新興国経済の安定、中国からの引き合いの拡大を踏まえたもので、来年は3.0%増えて初めて2,000億ユーロを突破するとみている。
VCIは今年の売上成長率予測を当初1.0%と低めに設定していた。だが、景気の拡大を受けてその後、何度も上方修正を行い、最終的に今回の水準(5.5%)まで引き上げた。生産成長率についても11月に提示した2.0%から2.5%へと上方修正している。出荷価格については前年比3.0%増とした前回予測を据え置いた。工場稼働率は86.7%に達し、長年の平均を上回る見通しだ。
売上予測の内訳をみると、国外が6.5%増の1,204億ユーロと大きく伸びて全体をけん引。国内も4.5%増の744億ユーロへと拡大する。
生産成長率予測を部門別でみると、伸び率が最も大きいのは製薬で4.5%に上る。これに無機化学と一般消費者向け化学品(ともに4.0%)、ポリマー(3.0%)、ファイン・スペシャル化学品(2.5%)、石油化学品(-1.5%)が続く。製薬を除いた化学の成長率は2.0%となる見通し。
クルト・ボック会長(BASF社長)は記者会見で英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)交渉に言及。新たな通商協定の締結なしに英国がEUから離脱すると、ドイツから同国に輸出する化学製品に年2億ユーロの関税がかけられるようになる恐れがあると指摘した。また、英国がEUの化学物質規制「REACH」や農薬規制と異なるルールを導入すると業界企業の大きな負担になるとして、標準・規制の統一、相互承認を要請した。