通常業務免除対象の事業所委員の数で最高裁判断

事業規模が大きい企業では、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の一部の委員が通常業務を免除される。これは事業所体制法(BetrVG)38条1項に記されたルールである。事業所委の活動に専念できるようにするためである。

免除対象となる委員の数は企業の雇用規模によって異なり、200~500人では1人、501~900人では2人、901~1,500人では3人、1,501~2,000人では4人、2,000~3,000人では5人となっている。従業員数が多いほど免除対象の委員が増える仕組みで、9,001~1万人では12人、1万人超では超過する従業員2,000人につき1人が追加される。

では、この従業員のなかには派遣社員も含まれるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が8月の決定(訴訟番号:ABR 51/15)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は自動車部品メーカーの事業拠点Bの事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。B拠点には同社と雇用関係にある従業員が恒常的に400人以上いたほか、派遣社員も恒常的に150人以上いた。合計で501人を超えることから、事業所委は2人の委員の通常業務免除を経営陣に要求した。これに対し経営陣は雇用関係にある社員が500人以下であることを指摘。業務免除の対象は1人だとして拒否したことから、裁判となった。

2審のラインラント・ファルツ州労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも同判断を支持した。決定理由でBAGの裁判官は、従業員数の計算に当たっては一部の例外を除いて派遣社員も算入されるとした労働者派遣法(AUEG)14条2項第4文の規定を指摘。業務免除の対象となる事業所委員の数を決める際の基準となる従業員数には派遣社員も含まれると言い渡し、事業所委員2人の業務免除を同社に命じた。

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