ドイツ銀行―ポーランドのリテール事業など売却―

ドイツ銀行(フランクフルト)は14日、ポーランドのリテール事業などを西同業サンタンデールの現地子会社バンク・ザホドニWBK(BZ WBK)に売却することで合意したと発表した。リテール事業の見直しの一環。ポーランドはリテール市場の競争が厳しいうえ、外資優位の銀行業界への政府の風当たりも強まっていることから、今回の取引を決めた。ポーランド金融監督庁(PFSA)などの審査を経て売却手続きが来年第4四半期に完了すると見込んでいる。

現地法人ドイチェ・バンク・ポルスカのリテール事業と、現地証券子会社DBセキュリティーズをBZ WBKに3億500万ユーロで譲渡する。外貨建て住宅融資ローン債権は譲渡対象に含まれない。ドイツ銀はポーランド事業を今後、企業顧客、投資銀行分野に絞り込む。

外貨建て住宅融資ローン債権を譲渡対象から除外したのは、同国事業から仮に撤退する場合でも同債権を売却しないよう政府が銀行に強く要求しているためだ。

ポーランドでは金融危機前に金利の安い外貨建てで住宅ローンを組む人が相次いだ。特に2007、08両年にはスイスフラン建て契約の締結数が50万件に上った。だがその後、ポーランドズロチの対フラン相場が半分に下落したことから当該顧客の債務負担が激増。大きな社会問題となっている。ドイツ銀は声明で「外貨建て融資を受けた顧客とは今後も取引を行う」ことを強調した。