バイオ医薬品開発の独ビオンテック(マインツ)は4日、米投資会社レッドマイル・グループを中心とする投資家から総額2億7,000万ドルを調達したと発表した。がんなどの治療薬の開発資金に充てる考え。各投資家の出資比率は明らかにされていない。
ビオンテックは患者の免疫を活用したオーダーメイドの治療薬を開発している。2017年7月には同社が開発中のオーダーメイドがんワクチン「IVAC MUTANOME」を用いた皮膚がんの治験で明確な薬効が確認できたと発表した。治験の報告は科学誌『ネーチャー』で公開されている。
ビオンテックでは各患者のがん細胞の遺伝子を正確に分析したうえでがん細胞の変異を個々に特定。これにより標的を絞り込んで、各人に見合ったワクチンをDNA(遺伝情報を保持する物質)の情報を写し取るメッセンジャーRNA(リボ核酸)をベースに作製する。同社はIVAC MUTANOMEを将来的に様々ながんの治療に投入できるとみている。
ビオンテックは2008年の設立。設立に際しては独後発医薬品大手ヘクサールの元オーナーが設立したシュツリュングマン・ファミリーオフィスが資金を提供した。製薬大手のイーライリリーやサノフィ、バイエル、ジーンテックと協働しており、昨年までに調達した資金の総額は約4億5,000万ユーロに上る。