C&A―中国企業が出資も―

欧州の老舗ファストファッション大手C&A(独デュッセルドルフ、白ビルボールデ)が事業の拡大に向けて中国企業からの資本受け入れを検討している。メディア報道を受けて同社が明らかにしたもので、C&Aの親会社であるスイス企業コフラ・ホールディングは15日、中国などの成長市場とインターネットでの販売を強化するために提携と外部資本の導入を行う可能性があると発表した。

C&Aはドイツ系のクレメンス・ブレニンクマイヤーとアウグスト・ブレニンクマイヤーの兄弟が1841年にオランダで創業した企業で、もともとは繊維の行商を行っていた。ドイツ第1号店を1911年にベルリンに開設。戦後は手頃な価格の衣料品を販売し、ファッションの大衆化に大きく貢献した。世界21カ国に計2,000店舗数を展開しており、主力のドイツは470店舗に上る。

近年はH&Mやザラなどファッション性の高い後発企業とネット通販に圧迫され業績が伸び悩んでおり、ブレニンクマイヤー家の持ち株会社コフラは昨年夏、スーパー大手レーベのネット事業拡大で優れた手腕を発揮したアラン・カパロス氏をC&A欧州部門の最高経営責任者(CEO)に任命した。

C&Aは2007年、中国市場に進出した。現地の店舗は現在80カ所で、巨大市場を開拓しあぐねていることから、現地企業との協働を模索しているもようだ。

中国政府はIT、ロボット、物流などと並んで、流通分野でも中国資本による外資の買収を重点政策に掲げている。

ブレニンクマイヤー家はグループ企業の資本を一族ですべて保有する閉鎖的な体質で知られている。このため、外部資本導入の検討は大きな転換を意味し、注目を集めている。