英国が新しい通商協定を締結せずに欧州連合(EU)を離脱するハードブレグジットが現実になると、ドイツの自動車部品(サプライヤー)業界で約1万4,000人の雇用が失われる――。コンサルティング大手のデロイトは11日発表のレポートでそんな予測を明らかにした。
英国がEUと新通商協定を結ばずに離脱すると、EUとの通商には世界貿易機関(WTO)のルールが適用され、現在は存在しない関税などの障壁が発生することになる。また、英国経済が弱体化し、同国通貨ポンドが持続的に下落する恐れがある。
デロイトによると、EU製自動車の英国販売価格はこの結果およそ21%上昇、英国製自動車のEU販売価格も13%高くなる。これを受けて、EU27カ国と英国における2019年の販売台数は計1,700万台となり、英国が仮にEUにとどまった場合に比べて77万台(約4%)減少する見通しだ。
ドイツのサプライヤーは英国の完成車工場に直接、部品を供給するほか、英国向け輸出車両にも部品を提供している。このため、欧州での自動車需要減少の影響は大きく、英国絡みの19年の売上高は英国がEUにとどまった場合(164億ユーロ)に比べて38億ユーロ(23%)少ない126億ユーロへと縮小。英国絡みで創出される雇用も1万4,000人少ない2万8,500人へと落ち込むという。売上高38億ユーロは16年の独サプライヤー業界売上実績(760億ユーロ)の5%に相当する。