樹脂フリー包装材の潜在需要は大、食品メーカーなどが大きな関心

樹脂を使わない包装材の開発や市場投入をドイツの研究機関や企業が模索している。プラスティックごみが深刻な環境破壊をもたらしているためだ。消費者や企業の環境意識は高まっており、潜在需要は大きい。『南ドイツ新聞』が12日付で報じた。

製紙会社アウグスト・ケーラーは2月、樹脂を用いない新しいタイプの包装材を製造するための工場建設を開始する。投資額は3億ユーロと大きく、リスクはあるものの、カイ・フルラー社長は「消費者、小売店、食品メーカーがけん引する形で需要はある」と明言。食品用の紙製包装材の生産に意欲を示した。リサイクル率で100%の達成目標を掲げている。

特殊ペーパー製造のドレヴゼン・シュペチアルパピーレは油成分を通さない包装紙「プロバリア・ネーチャー」を開発。競合ザッピもバリア性能の高い紙ベースの包装材「アルグロ・ガードOHG」を開発し、ベルギーの高級チョコメーカー、デラファーレに供給している。アルグロ・ガードOHGには樹脂成分が約20%含まれているものの、2~3年後には樹脂フリーを実現する考えだ。

ザッピの役員は食品メーカーが強い関心を示していると述べ、すでにブランド品メーカーと協議している事実を打ち明けた。「大きな市場がまさに立ち上がろうとしている」という。

フラウンホーファー・プロセス工学・パッケージング研究所(IVV)は紙と乳清からなる包装材を市場投入する考えだ。樹脂製包装材に比べ当初は値段が高くなるものの、消費者が受け入れれば低下するとみている。

ドイツでは包装材法が2019年1月付で改正され、樹脂製包装材のリサイクリング比率は2022年までに63%へと引き上げられることになっている。こうした規制強化も樹脂製包装材の使用減少につながると期待されている。

製紙業界はインターネットの普及を背景に紙の需要減少に苦しんでいる。このため包装材市場の開拓にかける意気込みは大きい。

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