スタートアップへの投資額、昨年は88%増加

ドイツのスタートアップ企業が2017年に投資家から調達した資金の総額は前年比88%増の42億7,600万ユーロと大幅に拡大し、15年に記録した過去最高(33億600万ユーロ)を上回ったことが、コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調べで分かった。大型案件が多かったことが反映された格好。調達件数は5%増の507件と、増加幅が比較的小さかった。EYのパートナーは大型案件の増加について、投資家の高い信頼を示すものだとの見方を示した。

資金調達件数が最も多かった州はベルリンで、全体の46%に上る233件に達した。これにバイエルン(76件)、ノルトライン・ヴェストファーレン(39件)、ハンブルク(39件)が続く。

資金調達額もベルリンがトップで、前年実績の約2.7倍の29億6,900万ユーロに上った。ドイツ全体の69%を占める。2位以下はバイエルン(4億700万ユーロ)、ハンブルク(2億3,000万ユーロ)、バーデン・ヴュルテンベルク(2億700万ユーロ)が続いた。

分野別では電子商取引分野の企業で調達額が前年の4億3,800万ユーロから4.1倍の18億1,000万ユーロへと拡大し、ダントツの1位となった。出前仲介サイトのデリバリーヒーローや食品配達のハロー・フレッシュの新規株式公開(IPO)や、デリバリーヒーローのベンチャー資本調達で水準が押し上げられた格好だ。

分野別の2位はフィンテック(5億4,100万ユーロ)、3位はヘルス(5億2,200万ユーロ)、4位はソフトウエア・アナリティクス(2億9,500万ユーロ)、5位はモビリティ(2億9,400万ユーロ)だった。

EYはスタートアップ企業の資金調達額が増えた理由の1つとして、大手企業が事業のデジタル化推進に向けて斬新なアイデアを持つ新興企業との協働を重視するようになったことを挙げている。特にB2B(企業間取引)の分野でこの傾向が強いという。

EYは設立10年以内の企業を調査対象とした。

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