中古車販売ポータルの独新興企業アウト・アインツ(ベルリン)は、ソフトバンク系の巨大投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」から調達した資金などを利用して事業のグローバル化を進める考えのようだ。SVFの運営責任者であるラジーブ・ミスラ氏が独『ハンデルスブラット』紙に明らかにしたもので、SVFは同社が出資する他のIT企業との連携を通してアウト・アインツのアジアや北米への進出を加速させる構想を持っている。
アウト・アインツは6年前に設立された新興企業で、中古車を買い取ってディーラーに販売する事業モデルを採用。世界30カ国以上で事業を展開している。計3万5,000のディーラーと取引を行い、2016年には15億ユーロを売り上げた。
アウト・アインツがこの事業モデルを中国や米国などの巨大市場で成功させるためには、現地の実情を正確につかむ必要がある。だが、国外の新興企業である同社はそうした能力を持っておらず、現地企業の支援を受けることが成功のカギを握ることになる。
SVFは配車アプリの米ウーバーや中国・滴滴出行、中国検索大手のアリババに出資している。これら企業の協力を受ければアウト・アインツは現地市場を速やかに開拓できる、とSVFはみている。ミスラ氏は合弁事業も念頭に置いていることを明らかにした。アウト・アインツを数年後に新規株式公開(IPO)させることを視野に入れている。
SVFはアウト・アインツの将来性を高く評価して4億6,000万ユーロを出資し、20%の資本を獲得した。特に熱い視線を送っているのは、車両の売り手が納得する購入価格をわずか数秒で算出するアルゴリズムと、車両をある地域から別の地域に低コストで輸送するノウハウだ。ミスラ氏は適正価格を速やかに算出するアウト・アインツの能力を家具や自転車など他の商品分野に適用すれば、事業を大幅に拡大できると指摘した。低コスト輸送についても同じことが当てはまるとしている。