業務用ソフト大手の独SAP(ヴァルドルフ)は22日、フランス事業の強化方針を発表した。同国がデジタル分野の技術革新で重要性を増しているためで、今後5年間で最大20億ユーロを投資。スタートアップ企業の支援拠点も開設する。マクロン大統領と会談したビル・マクダーモット最高経営責任者(CEO)は「この国は企業に巨大なポテンシャルを提供する」と期待感を表明した。
SAPは本国ドイツと米国ですでにスタートアップ企業との協力体制を構築している。今後はフランスでもそうした取り組みを本格化する考えで、50社以上のスタートアップを支援。自社の製品やサービスに反映させていく。
フランスでの研究開発には年1億5,000万ユーロを投資し、クラウド事業や技術協業を強化する。技術協業では機械学習、ブロックチェーン、モノのインターネット(IoT)、SaaS(ネット経由のソフト利用サービス)分野に重点を置く。
SAPはまた、パリのスタートアップ企業リキャストAIを買収したことも明らかにした。買収金額は非公開。リキャストは自然言語でアプリケーションを操作する言語ソフトの有力企業で、SAPは同社の技術を活用して自社製プログラムを自然言語で簡単に操作できるようにする考えだ。リキャストのソフトは20以上の自然言語に対応している。