地方部でネット通販が急拡大、人口と店舗の減少が追い風に

人口が少ない地方部でネット通販の需要が増えている。都市部への人口集中などを受けて地方の人口が減りスーパーや専門店も少なくなっているためだ。独電子商取引・通販全国連盟(BEVH)のクリストフ・ヴェンケフィッシャー専務理事はこの傾向が今後も続くと指摘したうえで、「インターネットは人口希薄地域の住民に対し他の地域と同じ質の生活を保障するものだ」と意義を強調した。

BEVHによると、ドイツのネット通販市場(物品部門)は昨年、前年比10.9%増の5,846億6,000万ユーロと2ケタ台の伸びを記録した。人口5万人未満の市町村で17.1%拡大。増加幅は同50万人以上の都市部(同8.9%)の約2倍に達した。5万人未満の市町村が物品ネット通販市場に占めるシェアは59%と大きい。

物品ネット通販市場のシェアを事業形態別にみると、伸び率が最も大きいのは実店舗やカタログ販売など複数の販売チャンネルを持つ「マルチチャンネル通販事業者(MCV)」で、21.0%に達した。実店舗をベースにネット通販を手がけるMCV事業者では同26.2%に上る。ネット販売専門事業者(IPP)は同12.6%、アマゾンやイーベイなどのオンラインマーケットプレイス(OMP)は4.4%だった。売上規模ではOMPが278億9,800万ユーロで最も多く、これにMCV(201億900万ユーロ)、IPP(85億6,400万)ユーロが続く。

製品分野別では家庭用品・白物家電の増加幅が最も大きく、26.5%に達した。2位は食品(21.3%)、3位はコンピューター・付属品・ゲーム・ソフトウエア(20.9%)。書籍・電子書籍・オーディオブックは3.9%減少し、これまでに引き続き落ち込んだ。売上規模では衣料品の117億6,000万ユーロが最大で、これに民生家電・通信機器(98億7,900万ユーロ)、コンピューター・付属品・ゲーム・ソフトウエア(44億4,800万ユーロ)が続いた。食料品は11億3,000万ユーロだった。

BEVHは物品ネット通販市場が今年は9.3%拡大し639億ユーロに達すると予想している。

上部へスクロール