アシックスの独禁法違反が確定、ネット販売制限で独最高裁判決

独ランニングシューズ市場最大手のアシックスが契約先の販売事業者に対しインターネットでの活動を制限していたことは独禁法に抵触するとした連邦カルテル庁の判断を不服として同社が提訴していた係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)が昨年12月に訴えを棄却する判決を下していたことが、判決文の公表で明らかになった。アシックスは問題とされた制限行為をすでに中止していることから大きな影響を受けないものの、同制限行為を再開できないことが確定したことになる。

アシックスは販売事業者が自社のオンラインショップに顧客を誘導するために価格比較サイトを利用したり、第三者のサイトにアシックスのロゴをアップすることを禁止していた。また、オンライン商店街の利用も禁じていた。

これに対しカルテル庁は、メーカーが契約先の販売事業者に対し価格比較サイト・ネット販売ポータルの利用や、ブランドロゴの利用を禁止すると、消費者は規模が小さい事業者のオンラインショップを見つけることができなくなり、メーカーの自社サイトやアマゾンなどのネット通販大手の市場シェアが高まると指摘。中小販売事業者の競争力が弱まり、競争を通した価格の下落も阻害される懸念があるとして、2015年に独禁法違反の判断を下した。

BGHは12月12日の判決でカルテル庁の判断を支持。販売事業者が価格比較サイトと協業することをブランド品メーカーが全面的に妨げることは、欧州連合(EU)カルテル法で禁じられた「ハードコア競争制限(hardcore restriction)」に当たるとの判断を示した。高級品大手コティの販売制限をめぐる同様の裁判で欧州司法裁判所(ECB)がすでに判断基準を下していることから、BGHはECBの判断を仰がずに今回の判決を下した。

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