独エネルギー大手2社が事業交換

独エネルギー大手のエーオンとRWEは11日、両社の事業を交換することで合意したと発表した。当局の承認を得て取引が成立すると、エーオンはエネルギー網と販売に経営資源を集中。RWEは再生可能エネルギーを中心に発電事業を大幅に強化する。

今回の取引でRWEはまず、子会社イノジーの保有株76.8%をエーオンに譲渡するとともに、エーオン株16.67%を取得。その後、イノジーの再生エネとガス貯蔵事業、およびイノジーが保有する墺エネルギー大手ケラークの株式49%の返還を受ける。また、エーオンの再生エネ事業を取得する。さらに、両社が共同運営するエムスラント、グントレミンゲン両原発のエーオン持分を譲り受ける。

取引は1月1日にさかのぼって実施される計画。RWEは現金15億ユーロをエーオンに支払うことになる。

エーオンはイノジーを自社に統合したい考えで、その準備としてRWE以外のイノジー株主を対象に株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い取り価格は1株当たり現金40ユーロで、そのうち3.24ユーロを2017年と18年の配当で支払う考えだ。

エーオンとRWEは11年の福島原発事故を受けてドイツ政府が打ち出した原発廃止の前倒しと再生エネの利用加速政策の影響で業績が悪化。RWEは再生エネ事業などをイノジーとして分離・上場し、エーオンも火力発電事業などを新会社ユニパーとして分離・上場した。エーオンはフィンランド同業のフォータムがユニパーを対象に実施したTOBに応じており、ユニパーからは近く全面的に資本を引き上げることになっている。

エーオンのエネルギー網事業は現在、同社売上の3分の2を占める。RWEとの今回の取引が成立すると同割合は約80%へと上昇する。

RWEは再生エネの発電容量が約80億ギガワットに達し、欧州有数の再生エネ事業者となる。メディア報道によると、同社は独同業EnBWの石炭・天然ガス発電事業買収にも関心を示しており、すでにその意図をEnBWに伝えたという。

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