電力需給調整に日産車を利用、パイロットプロジェクト始動

送電大手の蘭テネットは13日、電力需給の安定化に向けたパイロットプロジェクトを日産自動車の電気自動車(EV)を利用してドイツで開始したと発表した。現在の需給調整方式はコストがかさみ大口需要家や消費者の大きな負担となっていることから、EVを利用することでコストの圧縮を目指す。

再生可能エネルギー由来の電力は発電量が天候に大きく左右されることから、同電力の利用が増えるほど需給調整が難しくなる。送電事業者は電力の供給過剰時には風力発電パークを送電網から切り離し、不足時には緊急用の在来型発電を利用する。これに伴う費用は電力料金に上乗せされており、テネットの独事業では昨年およそ10億ユーロに上った。

EVを余剰電力の一時的な蓄えと供給不足時の給電に利用すれば、そうしたコストを大幅に圧縮できることから、テネット、日産、およびエネルギーサービス事業者のザ・モビリティ・ハウスの3社は今回のパイロットプロジェクトを立ち上げた。ザ・モビリティ・ハウスは充電と放電を自動制御するソフトウエアを提供する。

同プロジェクトでは、どのようなインセンティブを与えればEV保有者の参加意欲が高まるのか、あるいは本格導入にはどんな規制枠組みが必要になるのかを模索する。来年第1四半期に一次報告を発表する予定だ。

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