事業所委員選挙への影響行使で最高裁が判断

従業員の代表である事業所委員(Betriebsrat)を選出する選挙に、不利益を与えることないしその脅し、ならびに利益の供与ないしその約束を通して影響を行使することは何人たりとも許されない。これは事業所体制法(BetrVG)20条2項に記されたルールである。このルールをめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年10月の決定(訴訟番号:7 ABR 10/16)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は従業員950人の企業を相手取って同社の事業所委員会や前事業所委員長Sが起こしたもの。同社では事業所委員の選挙が2014年5月5日に実施された。経営陣のメンバーはこれに先立つ13年9月12日、非労組系社員向けの集会を主催。事業所委員会が会社を相手取って起こした係争中の訴訟が50件に上ることを挙げ、事業所委員長Sは会社の業務を妨害していると批判した。また、10月15日には、次期選挙でSに投票する者は裏切り者だと明言した。

原告は同選挙後の14年5月19日、経営陣のメンバーが事業所委とSを批判したことはBetrVG20条2項で禁じられた不当な影響力の行使に当たるとして、同選挙の無効確認を求める裁判を起こした。

原告は2審で勝訴したものの、最終審のBAGは逆転敗訴を言い渡した。

決定理由でBAGの裁判官は、不利益を与えることないしその脅し、ならびに利益の供与ないしその約束を通した事業所委員選挙への影響力行使を禁じたBetrVG20条2項の規定は、被用者の自由な意志決定を保護するためのものだと指摘。投票先を自ら決定する内面の自由はBetrVG14条1項に定められた投票の秘密によって保障されているとして、経営陣が行った事業所委とSに対する批判は不当な影響力行使に当たらないとの判断を示した。

裁判官はまた、BetrVG20条2項の規定よりも厳格な中立性(選挙への影響力不行使)が仮に義務づけられると、選挙無効の確認を求める訴訟がみだりに起こされるようになり、好ましくないとの判断も示した。

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