電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は10日、ネットワークでつながった産業機器をサイバー攻撃から守る異常検知ソリューション「インダストリアル・アノーマリ・ディテクション」を今月下旬に開催されるハノーバー国際産業技術見本市で公開すると発表した。製造業のIoT化を推し進めるためには産業機器を安心してネットワークに接続できる環境の確保が必要不可欠であることから、同社はシステムの異常を検知・除去するシステムを開発した。特に自動車、航空宇宙、化学、製薬、食品・飲料、上下水道関係の企業に適しているという。
同ソリューションを利用するためにはまず、ネットワークでつながった機器をすべて認識したうでソフトウエアをインストールする。その後は米国政府の支援を受けた非営利団体MITRE社の脆弱性情報データベース「CVE」に登録された機器の脆弱性を参照するとともに、設定に起因する脆弱性を見つけ出し、除去する。その後は機器の通信を恒常的に監視し異常を検知した場合は自動的に警告を発する。人工知能(AI)を利用することから自己学習機能も備えている。
シーメンスは産業IoTの普及拡大に向けてサイバーセキュリティの向上に注力しており、2月には同社主導のイニシアチブ「サイバーセキュリティ憲章」を立ち上げた。同社とエアバス(航空宇宙)、アリアンツ(保険)、ダイムラー(自動車)、IBM(IT)、NXP(半導体)、SGS(技術監査)、ドイツテレコム(電気通信)の計8社とミュンヘン安全保障会議を主催する非営利団体MSCが参加。新たなパートナーも積極的に受け入れていく方針だ。