派遣社員の勤務時間、派遣元の事業所委に共同決定権はあるか

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)には、就業・休憩時間および各週の労働時間の割り振りを雇用主と共同で決定する権利がある。これは事業所体制法(BetrVG)87条1項2に明記されたルールである。では、派遣社員の就業・休憩時間などに関して共同決定権を持つのは派遣元(派遣会社)の事業所委なのだろうか。それとも派遣先の事業所委なのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年9月の決定(1 ABR 57/15)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は病院Aに職員を派遣する派遣元の社団法人(e.V.)の事業所委員会が同法人を相手取って起こしたもの。同事業所委はAに派遣される職員を対象に、一定期間内の総勤務時間と超過勤務時間の上限、および労働時間口座に関する協定の締結を同法人に要求した。同法人の雇用主と事業所委はこれに関して合意できなかったことから、両者が任命するメンバーで構成される調停所(Einigungsstelle)が開設されたものの、調停所はこの問題に関する権限を有していないとして、決定を下さないことを決めた。

原告事業所委はこれを不服として提訴した。

この裁判で最終審のBAGは原告の訴えを退ける決定を下した。決定理由で裁判官は、派遣先である病院Aは派遣職員に対する指示権(Weisungsrecht)を持つと指摘。派遣職員の就業・休憩時間および各週の労働時間の割り振りは、この指示権に基づいてAの雇用主が同病院の事業所委員会と共同で決定するものだと言い渡した。

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