連邦労働省は19日、子育てや介護を理由に勤務時間を減らしていた被用者に本来の勤務時間に復帰する権利を認める法原案を、関連省庁に送付したと発表した。被用者が必要に応じて勤務時間を減らしやすくするほか、女性に多い老後の貧困転落が起こりにくくすることが狙い。同原案内容は政権協定ですでに与党内の承認を得ていることから、閣議承認と議会の議決を経て来年1月から施行される見通しだ。
フルタイム勤務の被用者が一度、パート勤務に切り替えると、フルタイム勤務への復帰を会社に認められず、パートに留まるケースが多い。この結果、公的年金の受給額がフルタイムに比べて少なくなり、老後に貧困へと陥る人は少なくない。
フベルトゥス・ハイル新労相(社会民主党=SPD)はこうした「パートタイムの罠」から被用者を守るために今回の法原案を作成した。被用者が最低1年、最高5年の範囲で勤務時間を減らし、同期間の終了後に元の勤務時間で働くことができるようになる。採用後6カ月超の被用者が権利を行使できる。
適用対象となるのは従業員数46人以上の企業。同権利を行使できる被用者の数は企業の雇用規模によって異なり、60人以内の企業であれば同時に行使できるのは最大4人に限られる。200人の企業は同14人で、201人以上の企業では権利行使者数の上限がなくなる。国内の約10万社に同ルールが適用される見通しだ。
ハイル労相は、パート勤務の社員が自らの希望で勤務時間を増やしやすくするルールの導入も法原案に盛り込んだ。勤務時間の増加を求められた企業がこれを拒否する場合は、人手がすでに足りていることや、当該パート社員に任せる新たな仕事がないことを証明することが義務づけられるようになる。