独社会民主党(SPD)は22日の臨時党大会で、アンドレア・ナーレス院内総務を新党首に選出した。女性が同党の党首となるのは155年の歴史のなかで初めて。長期低迷する党勢の回復という困難な課題に取り組むことになる。ただ、党内の支持は弱く、厳しい道のりが予想される。
SPDの党首選挙には通常、対抗馬が出馬しないものの、今回は構造改革路線からの決別を求めるフレンスブルク市のジモーネ・ランゲ市長が参戦。23年ぶりに2人の候補が争う格好となった。
ナーレス院内総務は66.4%の票を獲得し、党首に選出されたものの、得票率は同党史上で2番目に低く、同院内総務の求心力の低さと党内の分裂が改めて鮮明になかった。
SPDは同党のシュレーダー首相(当時)が2000年代前半に実施した構造改革の副作用で党が分裂。その後も党勢の弱体化が続いている。構造改革で経済は立ち直ったものの、社会的弱者にしわ寄せが出ているためだ。
同党は政権に復帰した2013年以降、構造改革に修正を加えてきたものの、得票率の形で成果は出ておらず、左派からは不十分との批判が絶えない。
ランゲ市長は「誤りを犯した者は謝罪しなければならない」し述べ、構造改革が間違いだったことを認めたうえで、撤回することを要求。構造改革の堅持を掲げるナーレス院内総務と党執行部を攻撃した。知名度が低いにもかかわらず、得票率は27.6%に達した。
ナーレス新党首は臨時党大会での演説で、SPDは政府与党にとどまりながら自らを刷新していくことができると述べ、政策や論争を通して連立先である中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)との違いを鮮明化していく方針を表明した。自らは内閣に所属しておらず、CDU/CSUを攻撃しやすい立場にある。
同党首に対する有権者の評価は現時点で高くない。世論調査機関インフラテスト・ディマップが公共放送ARD向けに実施した最新のアンケート調査では、ナーレス党首がSPDを危機から脱却させることに「成功する」との回答は31%にとどまり、「成功しない」(47%)を大幅に下回った。