メルク―一般医薬品事業をP&Gに売却―

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は19日、フランスを除く一般医薬品事業を日用品大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に現金34億ユーロで売却することで合意したと発表した。先端技術主導型の事業分野に経営資源を絞り込む戦略に基づく措置で、売却益を債務の圧縮と中核3事業(医療用医薬品、試薬などのライフサイエンス、液晶などの機能性材料)の強化に充てる。年内の売却手続き完了を見込む。

売却対象となるのは計900強の製品を展開する44カ国の一般医薬品事業で、墺シュピッタル、印ゴアの工場も含まれる。合わせて3,300人の従業員がP&Gに移籍する。

P&Gはメルクからフランスの一般医薬品事業も買収する考えだが、今回の取引からは除外された。メルクはP&Gが提示した同事業の買収計画を今後、現地の従業員代表と協議するとしており、事後的に売却する可能性を排除していない。

インド事業については現地の上場子会社Merck Ltd.(Indien)の過半数株をP&Gに譲渡する。P&Gは過半数株の取得後、現地法の規定に基づいて他の株主が持つMerck Ltd.(Indien)株の買い取りを提案する。

メルクは昨年9月、一般医薬品事業の戦略的なオプションを検討することを明らかにした。完全売却や部分売却、合弁会社化を視野に入れていた。

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