独バイオ業界の資金調達、ベンチャーキャピタルが2年連続減に

ドイツのバイオテクノロジー企業がベンチャーキャピタルから昨年調達した資金の総額は前年比6%減の2億100万ユーロとなり、2年連続で落ち込んだことが、監査法人大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)がバイオ業界団体ビオ・ドイチュラントと共同作成した2018年版『ドイツ・バイオテクノロジー・レポート』で分かった。欧州業界全体では同22%増の22億ユーロと大きく拡大しており、同国は欧州業界から取り残されている格好だ。EYの独ライフサイエンス・センターのジークフリート・ビアロヤン所長は、ドイツの科学のポテンシャルが反映されていないとして、「技術革新文化の転換が必要だ」と明言した。

ベンチャーキャピタルからの調達資金を国別でみると、フランスは85%増の2億5,000万ユーロと急拡大し、ドイツを一気に追い越した。欧州最大の英国は26%増の6億7,200万ユーロ、スイスも26%増の4億5,000万ユーロと好調だった。

ビアロヤン所長は独業界の問題点として◇研究支援の重点がプロジェクト分野に偏っている◇研究成果を商業化する起業家精神の欠如◇ベンチャーキャピタルファンドへの投資に対する税優遇の不足――を挙げた。

独バイオ業界の昨年の自己資本調達額は前年比37%増の6億2,700万ユーロとなり、00年に記録した過去最高を更新した。私募増資や転換社債の発行を通した上場企業の追加資金調達が59%増の3億4,000万ユーロに拡大。新規株式公開(IPO)は医薬品開発のインフラRX(InflaRX)1社にとどまったものの、調達規模は前年の3,200万ユーロから2.7倍の8,600万ユーロへと大幅に伸びた。(グラフ参照)

業界売上高も8%増の40億ユーロとなり、過去最高を記録した。起業は8社で、企業総数は6社増(1%増)の647社。業界従事者数は12%増えて2万5,927人となった。