ソフト開発のEyeoが広告ブロックソフト「アドブロック・プラス(ABP)」を提供しているのは違法だとして出版大手のアクセル・シュプリンガーが提供差し止めを求めている裁判で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は19日、訴えを退ける判決を下した。ネットメディアは広告料を収入源としていることから、判決が確定すると新聞社などは痛手を受けることになる。シュプリンガーは基本法(憲法)で保障された出版の自由が侵害されるとして連邦憲法裁判所(BVerfG)の判断を仰ぐ意向を明らかにした。
ABPはEyeoがネットユーザーに無料で提供するソフトで、ユーザーはインストールして利用する。インストールするとすべての広告がブロックされる(ブラックリスト入り)。ただ、控え目な広告はホワイトリストに区分され、ブロック対象から除外される。同社はホワイトリスト入りした企業から手数料を徴収し、収入を得ている。ABPのユーザーは世界全体で1億人を超える。
BGHの裁判官は判決理由で、ABPをユーザー自身がインストールして利用することを指摘。Eyeoがシュプリンガーの事業を直接的に妨害していることはないとの判断を示した。また、シュプリンガーはABPをインストールしたユーザーが自社の新聞サイトにアクセスできなくすることで、ABPの広告ブロックに対処できるとも言い渡した。
独新聞発行者全国連盟(BDZV)は今回の判決を受けて、報道ネットサイトは広告料を収入源にしており、収入モデルが大きな危険にさらされるとの声明を発表した。