独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)は4月26日、収益力強化に向けた施策の大枠を発表した。同行は業績不振の長期化を受けて今月上旬に頭取を交代したばかり。クライアン前頭取はスピード感と実行力の欠如を理由に解任されたことから、クリスティアン・ゼーヴィング新頭取は改革の方向性を速やかに提示することで市場に好印象を与える考えだ。
ゼーヴィング頭取は今月上旬の就任声明で、調整済みベースのコストを今年は230億ユーロ以内に抑制することを至上命令とする意向を表明した。ドイツ銀ではかつては利益のけん引車であった投資銀行事業が大きな足かせとなっていることから、同事業を整理・縮小するとともに、安定収益が見込めるリテール、資産運用、トランザクションバンキング事業を強化し、収入に占めるこれら3事業の割合を約65%へと引き上げていく。
投資銀行事業の一部である金利事業については同行が強みを持つ欧州に軸足を定め、米国の事業を大幅に縮小。コーポレートファイナンスの分野でも欧州企業との取引を主とし、米国とアジアの事業を整理する。株式事業については現在、特定の分野から撤退する方向で検討しており、ヘッドファンドとの取引は最重要顧客とのものに絞り込む方向だ。
同行はコスト削減に向けてすでに取締役会を縮小した。今後はさらに取締役よりも下位の管理職をスリム化する。また、外部のサービス事業者向けの支出とオフィス費用を大幅に圧縮するとともに、投資の見直しと不採算プロジェクトからの撤退を進める。
今回打ち出した方針はシティやゴールドマンサックスなどの米大手銀行に匹敵するグローバルプレイヤーになるという目標の断念と受け止められている。
ドイツ銀が同日発表した2018年1-3月期(第1四半期)の純利益は1億2,000万ユーロとなり、前年同期(5億7,500万ユーロ)を79%下回った。すべての部門で収入と税引き前利益が減少。利息以外の費用は1.9%増の64億5,700万ユーロへと膨らんだ。
3月末時点の狭義の中核自己資本比率は13.4%で、前期末の14.0%から0.6ポイント縮小。総資産に対する自己資本の比率であるレバレッジ比率も前期末の3.8%から3.7%へと低下した。