サプライチェーンを透明化、ダイムラーが原料採掘問題に対応

自動車大手の独ダイムラーは2日、同社製車両の部品に使われる原料の採掘などに際にて人権侵害が行われていないかのチェック体制を強化すると発表した。車載電池の重要な原料であるコバルトの採掘で児童労働などの深刻な人権侵害が横行し、世界的に問題化していることを受けたもので、サプライチェーンを資源採掘段階も含めて透明化。人権侵害発生のリスクを早期に察知し、回避できるようにする。

「人権尊重システム(ヒューマン・ライツ・リスペクト・システム)」というチェック方式を開発した。サブサプライヤー以下のサプライチェーンで人権侵害が起きないようにするとともに、そのチェックを行うことを、一次サプライヤーに義務づける。また、必要に応じて専門チームが採掘・製造現場の調査を実施する。

コバルトはコンゴ民主共和国が主要産地で、同国は世界の埋蔵量の3分の2を占める。採掘で環境破壊や健康被害、児童労働などの問題が出ていることから、経済協力開発機関(OECD)やコンゴ政府、民間企業は「責任あるコバルト・イニシアチブ(RCI)」を設立。人権侵害や環境破壊の回避に努めている。

ダイムラーはこのほど、RCIに加盟した。RCIにはすでに競合BMWが加盟。自動車用リチウムイオン電池のサプライチェーンの透明化に取り組んでいる。

ダイムラーはRCIのほか、アルミニウムと鉄鋼の分野でも同様のイニシアチブに加盟した。

乗用車部門メルセデスベンツ・カーズの原料調達担当者は、車載電池セルを中国の寧徳時代新能源科技股(CATL)から調達することを取り決めたことも明らかにした。CATLはダイムラーの人権尊重システムの拘束を受けることになる。

CATLは2011年の設立で、リチウムイオン電池と電池管理システムを手がけている。中国で自動車を生産する企業に対し同国政府が中国製電池の採用を義務づけていることもあり、世界有数の車載電池サプライヤーとなっている。独フォルクスワーゲン(VW)とBMWは同社から電池の供給を受ける。

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