サウジで独企業に逆風、前外相発言が尾を引く

サウジアラビアでドイツ企業を取り巻く環境が急速に悪化している。独ジグマール・ガブリエル外相(当時)の昨年11月の発言にサウジ政府が激怒していることが背景にあるもようで、独卸売・貿易業者連盟(BGA)のホルガー・ビングマン会長は「取引関係がここ数カ月で大幅に悪化したことを極めて遺憾に思う。ドイツ政府に対し新たな出発を望む」と述べ、外交関係の改善を促した。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。

ガブリエル外相はレバノンのサード・ハリーリー首相が昨年11月、訪問先のサウジで辞意を表明したことに絡んで、同首相は意に反してサウジの首都リアドに引き止められていると発言した。サウジはこれに抗議して、駐独大使を本国に呼び戻した。

FAZ紙によると、サウジ政府はドイツの技術が必要不可欠の分野を除いて独企業との取引を凍結。同国保健省はドイツ企業との間で新規契約を結ばないよう通達を出したほか、既存契約についても解約を検討しているという。サウジの受注の推定80%は政府によるものであることから、政府による「ドイツ企業外し」の痛手は大きい。

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