外資企業のコンツェルン事業所委設立で最高裁判断

企業に複数の事業所がある場合、従業員の代表機関である事業所委員会(Betreibsrat)が事業所ごとに設置されるほか、個々の事業所委員会の代表からなる全体事業所委員会(Gesamtbetriebsrat。以下GBR)も設置される。さらに複数の企業からなるコンツェルンの場合は、各GBRの決議を経てGBRの上にコンツェルン事業所委員会(Konzernbetriebsrat。以下KBR)という機関を設けることもできる。KBRの設置ルールは事業所体制法(BetrVG)54条に定められている。では、コンツェルンの本社が国外にある場合も同条に基づいてKBRを設立することができるのだろうか。この問題を巡る係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が23日の決定(訴訟番号:7 ABR 60/16)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はスイスに本社を置く国際的な企業の独子会社5社がBGRによるKBR設立の無効確認を求めて起こしたもの。5社のうち1社は事業活動を行わない純粋持ち株会社(A社)で、残り4社は事業会社である。

これら事業会社のGBRは2014年9月4日、KBRの設立を決議し、KBRの委員長と副委員長を選出した。

これを無効として原告5社が提訴した裁判で、一審と二審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審判断を支持した。決定理由でBAGの裁判官は、◇原告への支配権を持つ親会社が国外にある◇ドイツ国内には人事、社会、経済上の案件について実質的な決定権を持つ子会社が純粋持ち株会社であるA社を含めて存在しない――の2点を指摘。こうしたケースではドイツ法に基づくKBRを設立できないとの判断を示した。

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