製薬・化学大手の独バイエル(レバークーゼン)は4日、米農業化学大手モンサントを買収する手続きが7日に完了する見通しを明らかにした。同買収の実現に必要な当局の承認をすべて確保したため。約2カ月後にはモンサントの統合を完了し、世界最大の農業化学メーカーとなる予定だ。モンサントは消滅することになる。
バイエルは5月29日、モンサント買収計画が米司法省から条件付きで承認されたと発表した。この時点でメキシコとカナダを除くすべての国が承認。同社は両国の承認も近日中に獲得できる見通しを明らかにしていた。
同社は2016年9月、モンサントを最大660億ドルで買収することで合意した。両社はグローバルに事業を展開していることから、買収実現には多くの国・地域の承認を得る必要があった。
最大の難関と目されていたのは欧州連合(EU)の欧州委員会と米司法省の審査。欧州委は3月に条件付で承認したことから、その後は米司法省の決定に注目が集まっていた。同省は5月末、バイエルが時価およそ90億ドル相当の事業を独化学大手BASFに売却することを条件にモンサント買収を認めた。バイエルは農薬・種子事業の一部とデジタル農業事業をBASFに譲渡することになる。同社はBASFへの事業譲渡手続きの完了後にモンサントを統合する。
バイエルは当初、モンサント買収に伴い放出する事業の規模を売上高ベースで16億ドル(2016年)と予想していた。だが、当局の放出命令が予想を上回る同22億ユーロ(17年)に膨らんだことから、22年以降の予想シナジー効果を年15億ドルから12億ドルへと下方修正した。
今回の買収によりバイエルの売上高(17年ベース)は350億ユーロから450億ユーロへと拡大。農業化学部門は約200億ユーロへと倍増し、製薬部門にほぼ匹敵する規模を持つようになる。